医療者のためのてんかん講習会に参加しました

令和5年3月4日、2022年度愛知県てんかん治療医療連携協議会 医療者のためのてんかん講習会にオンライン参加しました。

1.てんかんのリカバリー

医療法人福智会 すずかけクリニック院長 福智寿彦先生

てんかんは、正しく治療をすすめれば7割は改善される疾患です。病から立ち直るためには、診察を受け内服することはもちろん大切ですが、

  • 希望
  • エンパワメント
  • 自己責任
  • 生活の中の有意義な役割(社会と関わっていくこと)

がとても重要です。

てんかん患者さんにとっても就労することはとても大切なことですが、職に就けるかどうかは発作の頻度も重要となってきます。病名を開示し、発作が出た場合はどう対応してもらうのが良いかなど、職場と相談しながらやっていくことが大切です。また、発作以外にも対人関係面などに問題を抱えるケースもみられるため、そういった側面からの支援も必要です。社会の中で今よりも成長して自分の力を発揮するためには、発作のみならず身体的側面、心理社会的側面など様々な側面からのサポートが必要です。そのためには、医師、看護師、精神保健福祉士、心理士などが協力し合うチーム医療が必要であると話されていました。

2.知ってほしいてんかんのこと~家族からのメッセージ~

患者さん御家族 横関広子氏

てんかん発作には、患者さんそれぞれの発作のパターンがあります。睡眠不足や疲労が発作の引き金となってしまうこともあるため、てんかんと付き合っていくためには、自分(患者さん)自身のことを見直すこと、てんかんを正しく学ぶことが重要であると話されていました。

また、患者さんを支える家族としても、

  • てんかんに無知である
  • てんかんについて学ぶ場がない
  • 飲んでいる薬を覚えていない
  • てんかん専門医のことを知らない

などの問題点を抱えている場合があるそうです。せめて現在どの薬をどのくらいの量内服しているかはわかっておくこと、副作用についても様々な情報に惑わされず、主治医にきちんと相談することが大切だと話されていました。

3.高齢者てんかん

愛知医科大学精神神経科 准教授 櫻井高太郎先生

てんかんの有病率は全人口の0.27~1.76%ですが、幼児期と高齢期に多いU字型であるという特徴がみられます。焦点意識減発作では、痙攣は少なく、手を動かしたりぼーっとしたりし、呼びかけにも応じません。朦朧状態が長く続き、その間のことを本人は覚えていません。キョロキョロする、手を振り払おうとする、ベッドから降りようとするなどの行動がみられることもあり、脳梗塞や脳卒中、認知症などが原因となっていることもあるそうです。患者さんの様子をしっかり観察し、適切な薬を使って治療をすることが大切であると話されていました。

4.ご自分の患者さんの中にてんかんを持つ人がいらっしゃった場合

愛知医科大学精神神経科 教授 兼本浩祐先生

てんかん発作のコントロールなどなかなか難しい場合などには、兼本先生、櫻井先生、福智先生などてんかん専門医に紹介・相談してくださいとのことでした。

今回の講習を受講し、てんかんの知識を深めていくとともに、多職種のチームで支援していくことの大切さをあらためて学びました。てんかんでお困りの方、一度受診されたい方などいらっしゃいましたら、すずかけクリニックまでお問い合わせください。